経営目標と戦略
第2次中期経営計画の位置づけ
2026年3月期は、第1次中期経営計画期間で残された課題を完遂する位置づけとし、「変革期」を1年延長いたしました。第2次中期経営計画では、変革期から成長期への移行を目指してまいります。また、売上高目標に加え、新たに営業利益目標を設定し、収益性の向上にも取り組んでまいります。

経営目標サマリー

グループ経営方針
「独創的な技術」を軸に三方よしを追求するという想いを込めた社是のもと、事業戦略を推進し、パーパスの実現を目指してまいります。

第2次中期経営計画基本戦略
第2次中期経営計画では、これまでの売上成長を重視する姿勢を引き継ぎつつ、コスト上昇や競争環境の変化を踏まえ、収益性への意識を一層高めていく経営への転換を図ります。その実現に向けた3つの基本戦略を策定いたしました。

基本戦略Ⅰ- 既存領域の拡充(1)
高いニーズが見込まれるLNG用バルブや、世界シェア4割を誇る船舶排ガス用バルブの販売拡大を図ってまいります。同時に増加が見込まれるメンテナンス需要も取り込んでまいります。
船舶排ガス用バルブの販売拡大
- さらなる品質改善とコスト低減を追求する「MarkⅢ」の開発やサイズバリエーションの拡充により、世界シェアの維持を目指す
- 高温流体試験設備の増設により、生産・開発双方のスピードを強化
- 海外拠点での生産体制を拡充し、トータルコストの最適化を図る
LNG用バルブの販売展開
- サイズラインナップの拡充や高圧・海外仕様への対応などにより、多様化する市場ニーズに柔軟に対応
- 新たな国内外サプライヤーの開拓による調達先の複線化により、調達体制の強化と供給の安定性を確保
増加するメンテナンス需要への対応
- 舶用エンジンや機器類の5年周期オーバーホール需要に対応した提案型メンテナンスサービスを事業化
- サービス提供を前提としたメンテナンス性に優れた製品設計・改良を推進
- 製販一体で高付加価値のサービス提供を強化
基本戦略Ⅰ- 既存領域の拡充(2)
脱炭素社会の実現に不可欠なアンモニア用バルブおよび液化水素用バルブの開発を完了し、市場への展開を進めてまいります。
船舶排ガス用バルブの販売拡大
- アンモニア用バルブ
開発を完了し、2027年3月期の市場投入および2030年度世界シェア5割*1を目指した量産体制の確立を計画
- CO2用バルブ
既存製品をベースにした仕様カスタマイズにより、開発スピードを高めながらニーズに対応
- 液化水素用バルブ
2028年3月期を目標に市場投入および量産体制を構築予定
*1:アンモニア用バルブの世界シェア5割は、アンモニア燃料供給用バルブと未燃アンモニア除害装置用バルブの2製品を合算したもの。
DXを軸とした生産性・収益性向上
- 需要が減少している既存品の統廃合を行い、カスタマイズ製品を機種・仕様ごとにパッケージ化することで、カスタマイズ製品による顧客への価値提供と設計・製造の標準化による社内の効率化を同時に実現
- 受注から出荷までを一気通貫で管理するERPシステムの導入により、工程ごとの可視化と計画的な生産対応を実現。現場での属人的な対応や突発対応の削減により、工程の整流化と業務の安定運用を図る
- 顧客課題の抽出からソリューション提案までを一貫して行う「深掘り型営業」の体制を強化し案件単価・顧客満足度の向上を目指す
基本戦略Ⅱ- 海外市場の展開
国内で基盤を構築した製品を軸にグローバル展開を加速し、海外売上高比率の向上を目指してまいります。
組織のグローバル統合と機能強化
- 営業組織の指揮命令系統を国内外で統一し、スピーディかつ一貫性のある顧客対応を実現
- 技術・生産・品質保証・管理部門において、設計基準・製造工程・品質管理手法・業務プロセスの標準化を進め、グループの全拠点で均質なサービスと品質を提供できる体制を構築
マーケティングの強化
- 日本市場で培った競争優位性を持つ製品・サービスを需要特性に応じて適切な海外市場へ展開
- 各国の顧客ニーズに即した製品を提供。生産を最適地で行うことで、供給力とコスト競争力を強化
基本戦略Ⅲ- 新領域への挑戦
新領域にも挑戦し、新たな収益の柱を創出してまいります。
通信技術を活用した新たなビジネスモデルの構築
- コネクティングバルブを中核とした配管管理システムなど、IoTを活用した新たなビジネスモデルを創出
M&A・事業提携による成長機会の獲得
- 外部専門家を交えたM&A・アライアンス専門チームを立ち上げ、候補企業の継続的な選定・交渉を推進
- M&Aおよび事業提携は、基本戦略Ⅰ・Ⅱ・Ⅲを実現するための手段と位置づけ、既存事業の拡充に加え、異分野への進出も視野に入れて展開する
戦略を実現するための競争優位性
約20種類の型式を展開し、流体特性に応じたカスタマイズは10万種類以上。豊富な製品ラインナップと広範な耐熱温度範囲で、多様な顧客ニーズに細やかに対応してまいります。
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強固な顧客ネットワーク
時代やトレンドを捉えた製品をいち早く提供することによって、幅広い業界の大手優良顧客基盤を確立。長年かけて蓄積した多種多様なデータを活用し、新たな製品を生み出している。
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高度な製品開発力
各種実験プラントを自社で所有してバルブ特性や流量特性などの実験を行い、データを収集・解析。試験可能な温度範囲は「-196℃~700℃」と、顧客ニーズにより近い環境を実現している。
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カスタマイズ製品
広範囲にわたる業界に対応できる製品ラインナップを保有し、多品種・小ロットでのカスタマイズ製品を柔軟に開発・供給。顧客の個別ニーズに応じたカスタマイズバルブを開発している。
業績目標
2026年3月期は、新基幹システムの本格稼働に向けた準備期間と位置づけ、体制の再構築を優先してまいります。そのため、売上高、EBITDA、営業利益はいずれも足踏みする見通しです。しかしながら、第2次中期経営計画期間におきましては、着実な成長を見込み、増収増益を計画しています。

財務戦略と資本政策
現状分析
2025年3月期末時点のPBRは0.58倍と、2021年5月以来1.0倍を下回る状態が継続しています。一方で、PERは改善にあり、投資家の皆さまから一定の評価をいただいてているものと認識しています。
株主資本コストは、簡易的な手法(インプラウド・アプローチ)で算出しており、10%超と認識しています。

PBR改善に向けた今後の取り組み
第2次中期経営計画期間においては、PBRを分解し、戦略的な施策を推進することで企業価値の向上を目指していまいります。
また、B/Sマネジメントを含めた資本効率の改善に取り組み、資本コストを上回るROEの実現を目指すとともに、エクイティ・スプレッドをマイナスからプラスに転換してまいります。持続的な企業価値向上に向けた通過点として、まずはPBR1倍超を目指してまいります。

キャピタル・アロケーション
事業活動およびB/Sマネジメントにより創出したキャッシュは、戦略投資に重点的に充当するとともに、株主還元方針の見直しによる還元強化や財務構成の最適化を進めてまいります。

株主還元方針
第2次中期経営計画期間中は、1株当たり配当金40円の維持・向上をベースとして、株主還元を実施していまいります。配当による直接的な還元に加え、成長戦略の着実な推進による中長期的な株価上昇を通じたトータルリターンの最大化を目指していまいります。
株主還元方針
当社グループは、持続可能な成⻑と財務の健全性を両⽴させるバランスの良い財務戦略および資本政策を検討し、これを基に継続的かつ安定的な株主還元を実現します。
配当金・配当性向の推移
(単位:円)
